マンション緊急特集 1
緊急特集2

◎管理組合が考えなければならない不祥事防止法
  マンション管理の主体は管理組合です
08/11/13
 大手管理会社の経営行き詰まりや、管理会社主導による修繕積立金の不動産投資ファンド等への投資勧誘で大きな痛手を受けた管理組合が続出する中で、更に大手管理会社の社員による、管理組合の管理費等からの架空工事代金着服事件が発生しました。

 その手口は、担当している管理組合のうち、管理に関心の薄い複数の管理組合を選び、エレベーターや給排水の補修等の架空工事を持ちかけ、同社が管理している管理組合の通帳から金を引き出していた。
 工事会社も存在しない架空会社名を使用するなどして、不正が発覚しないようにし、その総額は数年間で約2千8百万円を超えるとみられます。
 今回の事件は、管理会社内部でその不正に気がつき、各管理組合に事情説明とお詫びをし、その被害額全額はすでに返済されたとのことで、実質的には管理組合の損害は発生していません。
 被害を受けた管理組合では、管理会社から通知を受けるまでその不正にまったく気付かなかったとのことです。

 他の管理組合でも、同様の手口で不正が行なわれた場合、現状で防止できるか考えてみる必要があります。
 特に役員さんが一年任期で輪番制等の管理組合では、担当者に言われるままに印を付くという場合が多いのではないでしょうか。

 国土交通省告示「マンションの管理の適正化に関する指針」でも「マンションの管理の主体は、マンションの区分所有者等で構成された管理組合であり、・・・」と宣言しています。

 管理会社や管理組合内部の不祥事防止法として
 1.役員の任期を2年、半数交代、輪番制と適任者選任制との併用
 2.マンション管理士等の外部専門家の活用
 3.管理会社同一担当者の担当年数の制限
 4.委託契約の履行確認や改修工事等での理事立会い
 5.管理規約等が各種不正に対応できているか見直す
 6.役員報酬支給による責任感の育成
 7.理事会を年10回以上開催等

 この際チェックする必要があるのではないでしょうか。
◎老朽マンション建替え支援・・国交省がモデル事業
  一組合500万円の補助・全国で80管理組合を公募
08/9/6
 全国で、30年以上経過したマンションの戸数は約60万戸、平成25年には約130万戸に達するとみられる老朽化したマンションを建替えるため、専門家に相談して計画を作る費用などを支援する制度「安心居住推進事業」を、国交省は、来年度、実施する。

 全国から、約80の管理組合を公募で選び、一組合当たり約500万円、総額5億円の予算を来年度概算要求に盛り込んだ。
 更に、建築士等の助言で長期修繕計画を作る場合や公認会計士の指導で修繕積立金の算出する場合等にも補助の対象にする。
 管理会社に管理を委託している場合、委託契約には、これ等の長期修繕計画の作成や、修繕積立金の算出も含まれている。
 問題は、分譲する時点で作られた計画がそのまま現在も続いている事例が多いので、現状にあった内容に見直す必要があるということだと思われる。

 分譲マンションの老朽化対策が現実のものとなる今後10年間は、多くの管理組合では、大規模修繕や建替えに向けてのしっかりした計画を立て、実施しなければならない時期である。

 管理会社に依存した管理組合運営ではなく、専門家のアドバイスを受けながら組合員自身が主体性を持って管理組合の運営を行なうことを真剣に考える必要があるのではないでしょうか。
◎緊急特集・・大手管理会社倒産等急増
 そのとき管理組合や理事長さんの対処方法は!
08/9/1
【丸美・民事再生手続き開始】

 福岡県の分譲マンション管理としては、最大手の「丸美」が、7月頃からささやかれていたうわさどおり、平成20年8月5日福岡地裁に「民事再生手続開始の申立て」を行い事実上倒産しました。

 受託管理組合数430、負債総額210億円。管理会社としては、大型の倒産となりました。
 福岡市のマンション管理組合数は、約3千数百と思われますので、10%前後のマンション管理組合の管理を委託されていたことになります。

 今回の原因は、「丸美」が行なってきた、リゾートマンション、リゾートホテル等の販売(投信ファンドを含む)が行き詰まり更に金融機関の融資も厳しくなるなどが、考えられます。
 7月頃から、「投信ファンド」の解約が相次ぎ、直接の引き金になったようです。
 この投信ファンドは、管理委託している管理組合が修繕積立金を投資したケースもあり、更に深刻度を増しています。

 日常の管理費のみであれば被害も少なく、多少混乱はあっても元に復するとができますが、「投信ファンド」に投資している管理組合の場合は、(一説では管理委託している管理組合の約20%が投資しているとも言われています)投資した当時の理事長さんはじめ理事会への追及が激しく、臨時総会を開いても責任追及と怒号の中で、解決策が見出せない管理組合も出ております。

 もっとも深刻な事例では、数千万円の改修工事代金をこのファンドを解約して当てる計画であった管理組合があり、その支払日が数日中に来るのに、まったく支払いの当てが無いということで、もし支払いできない場合は、工事会社が倒産も現実のものとなる可能性が出ています。
 この場合は、ただ修繕積立金が返ってこないばかりでなく、工事会社倒産いった大事件に発展します。

【アーサー・会社清算開始】

 マンション管理事業では、九州でトップのアーサーヒューマネットが、会社清算に動き出したことが平成20年8月31日付西日本新聞で報道されました。
 これまで分譲したマンションが141棟(約6千戸)、管理物件は、約2万戸弱という九州では最大手の管理会社でもあります。
 
 今回の原因は、マンションの販売不振と金融機関の融資の厳格化が考えられます。
 販売不振は、耐震偽装や建築確認の長期化、建築資材の高騰等販売価格の上昇による等、マンション業界全体の問題でもあります。

 アーサーの場合は、会社清算ということで、すでにマンション部門も、管理部門も引継ぐ会社が内定している模様なので、すぐに影響のある管理組合は少ないのではないかと思われます。

 但し、管理組合担当の社員の変更やサービスの内容の変化、管理委託契約全般の変更等流動的です。
 いずれにしても管理会社が変わりますので、管理委託契約は、契約し直しということになります。

【管理組合及び理事長さんの対処法】

1.管理組合としての対処法
@管理費、修繕積立金の預金通帳及び印鑑を管理組合で保管するようにすること。
 通帳は、理事長さん、印鑑は経理担当理事さん等、その保管についてはルールを確立すること。

A代行方式などのように、管理会社が収支を直接管理しているような場合は、1ヶ月以内に管理組合口座に送金されているか、支払いが予定通り行なわれているか等確認すること。

B管理組合の重要な書類関係の保管を管理会社に委任している場合は、直ちに管理組合に引き上げ、点検保管すること。

C管理会社の変更を検討すること。
 新会社に移管された場合でも、契約を結び直さなければなりません。
 同じサービスでも、会社が変わり、担当者が変われば、変わると思い再検討の必要があります。

 管理会社の変更は、3ヶ月程度の期間が必要です。
 マンション管理士等の専門家のアドバイスを受けて、管理会社の選択をすることが長期的に見て管理組合のためになります。

2.理事長さん、理事会の対応
@情報の共有化を徹底する
 理事長さんや、担当理事として問題を背負い込まないようにして理事会全員で検討するようにすること。 その管理会社を選んだ責任や、投資ファンドに投資した責任を痛感するあまり、自分で何とかしようと思っても一人では問題は解決しません。

 最終的に総会決議で投資ファンドに投資することを決めたわけですから、全体の問題として話をオープンにすることから善後策を検討すること。

A管理会社変更を検討するときは、現在の管理会社の担当者では当然、相談相手になりません。
 多少費用がかかっても、管理組合の味方である、マンション管理士等の専門家を相談相手にして、選考作業を行なってください。
内部の人だけでは冷静な判断ができない場合も多々あり、経験と専門知識を利用することが早道です。

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