【マンション管理適正化法施行規則改正】施行平成22年5月1日 1.背景
平成13年8月1日に施行されたマンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成12
年法律第149号)により、マンション管理業者の登録制度の創設等、マンションの管理の適正化を推進する措置が講じられたところであるが、管理業者が管理組合から委託を受けて行う出納業務において、一部の管理業者の横領事件等により管理組合の財産が損なわれる事態が依然生じている。
これを受けて、マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則(平成13年国土
交通省令第110号)に定める分別管理の手法等について、所要の改正を行った。
2.概要
@ 財産の分別管理(第87条第2項関係)第87条第3項第1号においては、金銭である財産の分別管理の方法として、
イ 区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭を収納口座に預入し、毎月、その月分の修繕積立金等金銭から当該月中の管理事務に要した費用を控除した残額を、翌月末日までに、収納口座から保管口座(管理組合を名義人とするものとする。以下同じ。)に移し換える方法
ロ 区分所有者等から徴収された修繕積立金を保管口座に預入し、預貯金として管理するとともに、管理費用に充当する金銭を収納口座に預入し、毎月、その月分の管理費用から当該月中の管理事務に要した費用を控除した残額を、翌月末日までに収納口座から保管口座に移し換える方法
ハ 修繕積立金等を、管理組合等を名義人とする収納・保管口座において預貯金として管理する方法
の3種類を定めた。
A 保証契約の締結(第87条第3項関係)
管理業者が@イ又はロの方法により修繕積立金等金銭を管理する場合にあっては、原則
として、当該方法により区分所有者等から徴収される一月分の修繕積立金等金銭(ロの方法による場合にあっては、管理費用に充当する金銭)の額の合計額以上の額につき有効な保証契約を締結していなければならない旨を定めた。
B 印鑑等の管理の禁止(第87条第4項関係)
修繕積立金等金銭を@イからハまでの方法により管理する場合の保管口座又は収納・保管口座に係る管理組合等の印鑑、預貯金の引出用のカード等について、原則として管理業者が管理してはならない旨を定めた。
C 会計の収支状況に関する書面の交付等(第87条第5項関係)
管理業者が修繕積立金等を管理する場合にあっては、毎月、その月における管理組合の会計の収支状況に関する書面を作成し、翌月末日までに当該管理組合の管理者等に交付しなければならない旨等を定めた。
D 立入検査の際の身分証及び業者標識の表記事項(別記様式関係)
総務省行政評価局からの検査・調査等業務従事者の身分確認に関する調査結果の通知を受けて、立入検査の際の身分証明書の表記事項について所要の改正を行った。
また、マンション管理業者の登録更新時期を失念し、期限切れによって失効となる者の発生を防止するため、業者標識の表記事項について所要の改正を行った。
E その他所要の改正
Cの書面の交付等について電子的記録により行うことができるようにするための措置その他所要の改正を行った。
3.スケジュール
公布 平成21年5月1日
施行 平成22年5月1日(別記様式関係の改正については、公布の日)
*この改正に伴い、標準管理委託契約書も改訂されました。
*国土交通省管理委託契約改訂の概要より抜粋いたしました。【区分所有法大改正】 平成二十年には、築三十年以上のマンションが全国で100万戸に近いという数字が出るに及んで改修や建替えその他区分所有者の合意形成のためのプロセスを簡略化しなければマンションのスラム化が現実味を帯びてきています。
このような社会情勢の変化に対応するために区分所有法の改正が平成十四年十二月国会を通過し成立いたしました。【区分所有法改正概略】
第1 共用部分の変更
共用部分の変更のうち、形状又は効用の著しい変更を伴うものに限って特別多数決が必要なものとし、それ以外のものについては,費用の多寡にかかわらず、区分所有者及び議決権の各過半数による集会の決議(普通決議)で決することができるようにするものである。
外壁、屋上防水、給排水管等について行う修繕(いわゆる大規模修繕)は、一般的には「形状又は効用の著しい変更」には該当せず、普通決議で決することができるようになった。第2 管理組合及び管理者等
管理者は、共用部分並びに法第21条に規定する場合における当該建物の敷地及び附属施設について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領に関し、区分所有者を代理するものとする第3 集会・決議及び規約・議事録等の電子化
集会における電磁的方法による議決権行使
書面又は電磁的方法による決議等
規約・議事録等の関係書類の電子化第4 管理組合法人
従来管理組合法人を設立するには三十人以上の区分所有者が必要であったものを人数要件が削除された。第5 建替え決議
建替えに必要だった「老朽化が著しい・・・」等の理由が削除され、区分所有者の五分の四以上の賛成があれば立替が可能となった。
更に、建替える場合は従前と同一用途という条件も削除された。第6 団地内の区分所有建物の建替え
第7 罰則の強化 過料金額の倍増
【マンション建替え法】 マンションの権利関係の元締め的法律である「区分所有法」には、マンションの建替えをする場合は、区分所有者の5分の4以上の賛成が有れば可能であることになっていますが、いまだかってこの条文を利用してマンション建替えが行なわれた事例が有りません。
法律では建替え可能ですが、実際に検討していくうちにいくつもの壁があることに気が付きます。
建設費の負担、抵当権の問題、反対者の対応、建替え中の住居の問題、権利確定までの長いプロセス等検討すればするほど遠のいていく結果になります。特にこのような問題を各々が個人で解決しなければならないというのが最大の欠陥であったわけです。
このような問題点を考慮して、マンションの老朽化等による建替えを円滑にできるようにこの法律が作られました。(目的)
第一条 この法律は、マンション建替組合の設立、権利変換手続による関係権利の変換、危険又は有害な状況にあるマンションの建替えの促進のための特別の措置等マンションの建替えの円滑化等に関する措置を講ずることにより、マンションにおける良好な居住環境の確保を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。(国及び地方公共団体の責務)
第三条 国及び地方公共団体は、マンションの建替えの円滑化等を図るため、必要な施策を講ずるよう努めなければならない。(基本方針)
第四条 国土交通大臣は、マンションの建替えの円滑化等に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
2 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 マンションの建替えの円滑化等を図るため講ずべき施策の基本的な方向
二 マンションの建替えに向けた区分所有者等の合意形成の促進に関する事項
三 マンション建替事業その他のマンションの建替えに関する事業の円滑な実施に関する事項
四 再建マンションにおける良好な居住環境の確保に関する事項
五 マンションの建替えが行われる場合における従前のマンションに居住していた賃借人(一時使用のための賃借をする者を除く。以下同じ。)及び転出区分所有者(従前のマンションの区分所有者で再建マンションの区分所有者とならないものをいう。以下同じ。)の居住の安定の確保に関する事項
六 危険又は有害な状況にあるマンションの建替えの促進に関する事項
七 その他マンションの建替えの円滑化等に関する重要事項
3 国土交通大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。「以下法律の項目のみ記載」
第二章 施行者
第一節 マンション建替事業の施行
第二節 マンション建替組合
第三節 個人施行者
第三章 マンション建替事業
第一節 権利変換手続
第二節 賃借人等の居住の安定の確保に関する施行者等の責務
第四章 マンション建替事業の監督等
第五章 危険又は有害な状況にあるマンションの建替えの促進のための特別の措置
第一節 危険又は有害な状況にあるマンションの建替えの勧告等
第二節 賃借人居住安定計画の認定等
第三節 転出区分所有者居住安定計画の認定等
第四節 賃借人等の居住の安定の確保等に関する措置第七章 罰則